PART X   トランジスタアンプに挑戦!!

    ありあわせで JLH class-A バトルメントアンプ

  相変わらずの財政難の下、何とか「製欲」を満たすために手持ち部品を漁った結果、トランジスタアンプを作ることになりました。今回トランジスタアンプを製作することになった原因は、強い「製欲」はもちろんですが、この「製欲」をすぐに満たせそうなアンプの作例に出会ったことが大きいと思います。たまたま拝見していた「手作り」の会のnobさんのHPで見つけたJLH Class-Aアンプは、まず第1に出力段が手持ちの2SC5200である。第2に電源の仕様が手持ちのスイッチング電源でいけそである。そして何より、回路がトランジスタ8個と非常にシンプルに思えたからです。今までトランジスタアンプと言えば石を何個も使って非常に複雑だと言う先入観があって敬遠しがちでしたが、これならやってみるかという気持ちになるものでした。 で、そのJLHのアンプですが、これは1969年にJ.l.Linsley Hoodと言う人が、Wireless Worldに発表したもので、構成が非常にシンプルでしかも良い音ということで海外のDIYerの間ではけっこう評判なようで、本人を含め今日までupdateされているようです。今回製作したのはその2002年版といえるものです。日本ではweb上ではまだnobさんのHPでしか見たことがありません
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1.プロトタイプの製作
  まずは試作機を作ってみました。出力段以外の全段、定電流源の部分を1枚の基板上に組みました。出力段の2SC5200はこれまた手持ちで、いつか使いたいと思っていた巨大ヒートシンクに両チャンネルまとめて4個載せました。電源部は24V5Aのスイッチング電源2個を正負の両電源として使っています。本来ならばトランスと巨大コンデンサで組むべきなのでしょうが、財政は厳しいので手持ち品でお気軽に行きました。配線、チェックを経て調整を試みましたが、出力段のDCオフセットが調整しきれませんでした。音は出ているのですが、どうやってもオフセットが取れません。とうとうギブアップしてnobさんにメールで問い合わせたのですが、メールがどうしても届かず、結局半導体分科会の掲示板でお尋ねしました。その結果定電流源の抵抗を変えることで調整できるようになりました。 JLHにはミーティング回路もスピーカ保護回路もついていません。ちょっと不安だったのでつけることとしました。web上で探して見つけたのは大和さん"THE SOLID STATE AUDIO SYSTEM"が紹介されていたものを使わせていただきました。スピーカ保護のほうは試していませんがミーティングの方はばっちりです。プロトタイプはこれぐらいにしていよいよ本製作にかかりました。 )
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2.本製作
  本製作でもっとも重視するのはいつもと同様、自分好みのデザインです。今回は自分の部屋にアンプを並べるスペースがなくなってきたので床にじか置き出来る縦型が良いと考えていました。そんな時、外道分科会の村嶋さんが発表されたMOSFETアンプはご自身がバトルメントと命名された縦型?でした。これにヒントを得て、私もバトルメント様式を採用することにしました。構成はバトルメントの頂上としてヒートシンクを配し、その下に電源、前段の基板を配置しました。これにより幅x奥行きx高さが220x180x570といったトールボーイ型になりました。この時点では発熱はあまり気にしていなかったのですが、念のためにファンも取り付けることにしました。これらを収納するシャーシは手持ちであった産業用コントローラのジャンクの筐体を正面パネルが底面になるように立てて使っています。
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さて、恒例の「ヒカリモノ」ですが、今回はライトアップする真空管がないのでパイロットランプに凝ってみました。シャーシ正面にいつもの100円ショップで見つけたアクリル製のネームプレートにLEDを埋め込んで見ました。
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3.Ver.2へ
  出来上がったアンプは、夏のお寺大会で披露してみました。その結果指摘いただいたのは、アイドル時の電流が低すぎるのではないかということでした。nobさんの作例に従って0.5Aのアイドル電流としていましたが、もっとあげたほうが良いとアドバイスを頂き、オリジナルと同じ2Aを目指すことにしました。電流をあげて気になってくるのは発熱量で、0.5Aでは一向に気にならなかった発熱量も0.7A〜1Aぐらいに電流を上げるとこんな巨大なヒートシンクでも急激に温度が上がりました。熱電対で2SC5200の表面温度を測ると、100℃近くになります。2A流すとこれでは余裕がまったくなさそうなので、Ver.2では放熱の効果を上げようと2SC5200をもう一枚のヒートシンクで挟み込んでみました。しかしこれぐらいの改造では2Aはまだ無理そうで、とうとう2SC5200を断念しました。
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3.Ver.3へ
  オリジナルの2N3055はTO-3型で最大ジャンクション温度も200℃と強力なことがわかり、また秋月で150円と手ごろな値段で売っているそうなので方針変更を決めました。2N3055は10個からhfeで選別して使います。ここで悩まされたのはヒートシンクへのマウント法でした。TO-3型は背面から各端子が出ているので巨大ヒートシンクのフィン側から配線しなければなりませんし、端子と取り付け穴のピッチがフィンと干渉してしまいます。そこで3mm厚のアルミのサブプレートにまずトランジスタを取り付け、端子とヒートシンク本体への取り付け穴がフィンとフィンの間に1列に並ぶように配しました。
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この結果、2Aまで電流を上げてもケース温度が100℃前後で落ち着くようになりました。ヒートシンクは十分手で触れることが出来る温度です。ただ、ケース温度が100℃ということに加えて、ケースがコレクタを兼用しているので安全のためにガードをつけました。100円ショップで見つけた、流しの小物おきです。これを加工して写真のようにガードを作りました。
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「ヒカリモノ」も手を加えました。トランジスタアンプでは真空管自身のライトアップのようにシンボル的なものがないと思っていましたが、よく見ればヒートシンクがその役目を十分果たしそうです。そこでLED2個を使ってヒートシンクをライトアップしました。もう少し照射範囲が広いと良かったのですが、これでも結構お洒落じゃないでしょうか?
さて、肝心の音ですが、11月の例会、冬のお寺大会で会の皆さんに聴いていただきました。そんなにひどいものではないようです。
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