PART Vb   結果も邪道

     −初めての特性測定

  昨年末に幸運にも廃棄処分になったオシロスコープを手に入れることができました。10年前の製品でかつ、捨てるのだから何か訳あり品でしょうが、一応動作はするようです。ということで、周波数特性や入出力特性を測定するために秋月のファンクションジェネレータキットを作り、これらの特性測定に挑戦してみました。測定対象はもちろんkha-Tar5号、PART Vで紹介した邪道211SEです。


oscillo.jpg

  @ 入出力特性
 スピーカ8Ω端子にダミーロード8.2Ω!(8Ωがなかった。実測8.7Ω)を接続し、入力にはファンクションジェネレータを接続。入出力にオシロスコープのch1、ch2のプローブを接続。アンプのボリューム最大の状態でジェネレータを周波数1KHzで固定し、出力を少しずつ増やし、入出力の電圧(P-P値)をオシロスコープから読み取りました。このオシロスコープにはP-P値の表示機能とカーソルによる読み取り機能が1ch分ついていたのでそれを利用しました。結果を入力は実行値に換算し、出力はワットに換算した結果が下図です。

211In_Out.gif

なんと0.5wあたりから出力が頭打ちになってしまいます。あれ?計算では0.8wぐらい出るはずだが・・・と思い、計算間違いや、測定法を見直しましたがわからず、とうとうぺるけ師匠にメールでお尋ねしてしまいました。その結果はお粗末なもので何の事はない、最初の出力計算が間違っておりました。私は出力計算に欲張ってロードラインの端から端までの値を使って計算しておりました。
      Wmax=(380-240)^2/8/3000=0.82w
ところが、実際はもっと控えめに、出力に有効と思われる範囲で計算すべきで、
      Wmax=(350-250)^2/8/3000=0.41w
計算値は実測値とほぼ一致しました。師匠ゴメンナサイ。しかしながらこれまで0.3w以下で満足して聴いていたことになり、余裕を持たせると何wぐらい必要なのか気になるところです。

A 周波数特性
 1KHzでの出力が0.3wの状態から周波数を増減させ出力の増減をを測定しました。その結果が下図です。どう見てもフラットな領域が狭く、良い結果とは思えません。特に低域の方向は500Hzぐらいからだらだらと下がっています。

211freq.gif

B ダンピングファクター
 ON・OFF法で測定しました。1KHz、0.3wで測定した結果、負荷時4.4V、無負荷時11.2VでDFは0.64とこれまた悪い結果でした。



C 温度特性
 ん?何じゃそれ?と思われるでしょう。実は昨年このアンプを「手作り・・・」の外道分科会のページに投稿したところ、ある方から「シャーシが木製でさらに211にアクリルのつつっぽをかぶせるとは危険だ」という助言をいただきました。私もアクリルチューブについては耐熱温度70℃となっていても不安なので、アンプの各部の温度測定をしてみました。測定個所は下図のとおりです





tc_location.jpg


 この部分に熱電対を張り、スイッチを入れてから温度が定常になるまで15分おきに3時間測定しました。(ちなみに測定中の演奏曲はマドンナです)測定器はないのでテスターで電圧を測り、あらかじめわかっている温度で測定した電圧で換算しました。下図に測定結果を示しました。測定点すべてをあげると見にくいので、気になる主要な個所だけあげてあります。これを見ると一番気になるアクリルチューブの温度は40℃付近で落ち着いています。実際に触ってみても人肌程度の暖かさです。このときの室温は20℃ですからたとえ真夏に40℃!になったとしてもチューブの温度は60℃付近で落ち着くと推定されます。おそらくチューブの位置がヒータの位置よりも下にあるためにあまり温度が上昇しないのだと思います。(だから安全とは言いませんよ!念のため)

h_balance.jpg


 ロードラインをいじってみる

 出力計算の失敗で、予想の半分にも満たない結果となったので、もう一度ロードラインをできる範囲でいじってみました。その結果、プレート負荷7K、カソード抵抗500Ωの場合のほうが出力が多めに取れるようです。

      Wmax=(400-230)^2/8/7000=0.51w

211ep_ip2.jpg

 この設定で計測した結果は以下のとおりです。まあどっちもどっちという感じでしょうか?ダンピングファクターは1.2ほどになりました。

211in_out2.gif

211f_response2.gif

 不勉強ゆえ、今のところ何をどうすれば改善されるのかはよくわかりませんが、今後もっと勉強して少しずつ改善できればと思っています。 このサイトを見た方でなにか改善点、アドバイス等があれば教えてください。よろしくお願いします。

211se03_02.jpg




ご注意!

真空管アンプは高圧電流を扱います。感電、火災等の危険が考えられます。。
読者がここに記載された情報を実際に運用した際に発生した事故、傷害、損害等
をに関して、 著者は一切の責任を負いません。 読者の自己責任で利用してください。
適切な対策を講じて、事故のないよう十分配慮して下さい 

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