PART III   「邪道から王道へ!」と思ったら「寄り道」に(スピーカになっちゃった)

 PART Iで紹介したように、昨年からアンプ製作を再開してからというもの、「アンプを作りたい!・・・」という欲求は高まるばかりである。しかしながら財政難のためにその欲求は満たされぬまま悶々と日々を送っていた。PARTIIではとうとうバーチャルアンプで「作ったつもり」になってみた。しかしながら最初の内こそ楽しかったが、だんだんとフラストレーションがたまってしまう結果となった。そう、「アンプを作りたい!」という抗し難い欲求、「製作欲」は略せば「製欲」である。と言う事はバーチャルアンプはピンナップガールだ!満たされるわけがない・・・。こういうときは体育会系のクラブ活動に熱中してさわやかな汗を流し、もやもやを吹き飛ばすのが昔からの悩み相談室の回答だろうが、もう中年オヤジの域に達した私にはいくら元体育会系とはいえ、ちと苦痛である。
   そんなある日、長女が小学校に入学するので学習机を買う下見として家具屋に行った。入学準備シーズンとあって家具屋には学習机が所狭しと並べてある。安いのは「いちきゅっぱ」から10数万の総天然木製まで、まあなんと種類のあることよ。で、ためしにその店の中レベルの値段の机を見てみるが、確かに天板や側板はしっかりしているが、引出しの底板などはなんとも華奢なつくりで折り詰め弁当の底のようにぺらぺらである。値段が10万超のものはさすがに底板もしっかりしているがちょっと手が出ない。「そんなら俺が作るか」と半分冗談、半分本気で妻に言うと、以外にあっさりと「いいわよ」と返ってきた。アンプと違って子供のものなら予算も獲得しやすい。これが寄り道の「はじめの一歩」である。それからの2ヶ月間、あり余る「製欲」を解消するために、結局長女だけでなく次女の分も合わせて机、袖机、本立てを2セットずつ作ってしまった。

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 さて、前置きが長くなってしまったが、製作途中でいろいろと材料や加工法についてホームページを検索しているとスピーカエンクロージャ用板材のカットサービスのホームページに頻繁に出くわした。最近はパネルカッターがどこのホームセンタにもあり、非常に精度良く板材を切り出してくれることもあり、エンクロージャの自作が容易になったようである。たちまち自分も作りたいと思うようになってしまうから困りものである。「製欲」解消手段のはずが新たな「製欲」を生んでしまった。ホームページの検索内容は徐々に自作スピーカのページへと移行していった。どうせ作るならただの箱よりバックロードホーンだと思い、その中で比較的低価格でできそうなものを探して見つけたのが故長岡鉄男先生のD−100である。板取まで紹介してあるページも見つかり、本当にあとは実行あるのみとなった。私の誕生日が近かったことと、机の出来栄えが予想以上だったので、我が家の財務省からのスピーカ予算の獲得は比較的楽であった。

 4月18日:まず側板だけを買いに行った。いきつけのホームセンタは10カットまではタダなので何回かに分けていくと安上がりになる。D−100はすべて15mm厚の板を使用するが名器D−55のように側板、バッフル、背板2枚重ねと言う例もあるので、急遽、他の部品への寸法変更が少なくてすむ側板は2サイズ上の21mmにすることにした。当初考えていたシナベニヤ合板は売っていなく、仕方がないのでラワンの合板にする。サブロクサイズで3980円、カットはタダ。非常に重い・・・側板だけで片ch分10kgありそうである。
 4月19日:秋葉原にスピーカユニット買出し。FOSTEX FF125Kおよびスピーカグリル、スピーカケーブル、ターミナル、吸音材などを購入。全部で約12000円。
 4月20日〜4月24日:側板をペーパで磨き、ホーンのパターンを鉛筆で描いていく。直角や平行を出すのが難しい。平日なので、1日1枚のペース。
 4月25日:仕事帰りにホームセンタに寄って残りの板材購入。1820x910xt15および910x910xt15。それぞれ2980円、2220円であった。カットは約75箇所あり1500円。これで材料は、ほぼそろった。さあ明日から10連休だ!

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 4月26日:音道の一部を組み立てる。結合にはおなじみ木工ボンドと真鍮のくぎを使用。オリジナルでは音道を曲げるためにできた中空部に砂か吸音材を詰めるようになっているが、板が余っているし、D−37では板で埋めてあるのでこれも板で埋めることにした。

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 4月27日:残りの音道を組み立てる。今日はバッフル板にスピーカ取り付けの丸穴をあけなければならない。ハンドドリルで下穴を開け、100円ショップで購入した回し引きで丸くあけるつもりであったが、ちっとも思った方向に切れていかない。およそ真円とはかけ離れた形で抜けた。2枚目はさすがに学習効果があり、下穴の数を増やすことで多少改善された。あとはひたすらヤスリで丸く削っていった。今回最大の重労働であった。

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 4月28日:音道をニスで塗装するための下準備。ボンド接合面にマスキングする。その後「との粉」を塗りたくって目止めをする。「との粉」は中学の技術家庭の時間に作った本立ての塗装以来の体験。大失敗だった記憶が鮮明に残っていたので今回は失敗しないように慎重にやったがやっぱり思うようにはいかなかった。乾燥。

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 4月29日:動物園に行くためにお休み。
 4月30日:ニスを塗る。音道部は外から見えないから手抜きでニス塗り1回。ただしホーン開口部は見えるので黒のラッカーであらかじめ塗装した。ニスは机を作った時のものが大量に余っていたので迷わずそれを使う。

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 5月1日:側板に組みつけていく。音道が徐々に大きくなるよう慎重に配置。ボンドをたっぷり塗って接合。とどめにくぎを打ち込む。各コーナーには三角断面の木材を接着した。多少は音道が滑らかになるだろう。ここでお決まりのポーズで記念撮影。反対側の側板でふたをして重石を載せる。たまたまというか、かなり計画的というか、裏庭にまく砂利を買ってきていたのでビニールシートの上から載せた。スピーカ1本につき40kg!このままおいて妻の実家に帰省する。。

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 5月5日〜9日:疲れてお休み。
 5月10日:いよいよ外側の塗装である。まず240番ぐらいのサンドペーパで下地仕上げ。ちょっと不精してホームセンタよりサンダ−をレンタルした。1日300円。この威力はすばらしく、1時間ぐらいで2本ともつるつるになった。次はまたまた「との粉」で目止め。「との粉」に関しては学習効果が全くなく、やっぱり今回も思うようにいかない。夕方乾いたところを見計らって黒のラッカーで塗装する。本当は自動車用のカラースプレーを使いたかったが、高いので同じ値段で4本買える廉価版のラッカースプレーにした。外での塗装のため、風除けとしてダンボールを重ねて囲いを作った。時間をあけて2回塗装する。

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 5月11日:ニス塗り1回目 筆は100円ショップで購入
 5月14日:ニス塗り2回目 これまでは休みの日に玄関の外で塗っていたが、今回は仕事から帰ってきてから自分の部屋で塗った。換気を良くするために屋根裏から扇風機を出してくる。
 5月16日:ニス塗り3回目 これで塗装は最後とする。まだまだでこぼこしているようだが、これで良しとする。
 5月17日:いよいよユニットの取り付け。ケーブルを半田付けした後、本体とスピーカグリルを共締めする。これでほぼ完成。あとはホーンロード底部に充填する小石とその上に敷くフエルトの布。小石は金魚の水槽用の石がよさそうだが高いので園芸用の砂利(20kg300円)をふるいを使って適当な大きさに選別した。これを充填し、黒のフエルトの布を敷いて堂々の完成!重量はなんと1本20kg超だった。

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 試聴:「製欲」が満たされれば、音はどーでも良い。と、いうわけではないが、およそあてにならない耳なので簡単に感想を。 ボリュームを絞って聴いても気持ちよく鳴ってくれます。眺めているだけでも黒のつやつや感が非常に気持ちよい!
 その後、手持ちの市販のトランジスタアンプが2系統のスピーカ切り替えがついていたことを思い出し、これまで使っていたペアで15000円のBOSE201と切り替えて聴き比べてみました。音楽はジャズ系です。やはりD-100のほうが同じ音量では豊かに聴こえるようです。アンプのレベルメータを信じるならば、1wどころか0.5wも出ていないのに十分な音量です。現時点では非常に満足しています。

−おまけ 今後の予定(PART IV予告)

  とうとう見つけました!ごみあさりをしたわけではありません。妻の実家で使われていたものです。請うご期待!!(意味がわからない方はPART IIへどうぞ

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